山口百恵「あまりりす」の思い出

部屋にこもって聴くのがおススメ「あまりりす」~『花ざかり』 

「あまりりす」
歌:山口百恵
作詞: 松本隆
作曲:岸田智史
編曲: 船山基紀

アルバム『花ざかり』
B面2曲目に収録されています


Terri CnuddeによるPixabayからの画像

『花ざかり』は「秋桜」他、
花をテーマにした曲が多く入っています

発売は1977年12月
やっぱり<冬のアルバム>
というイメージがあります

ジャケット写真は
白いニットのセーターを着た百恵ちゃん

私は石油ストーブをつけて暖を取りながら
毎日このアルバムを聴いていました
(中学1年の頃)

「あまりりす」の歌い始めの詞はこうです

散りゆく花がきれいに咲くのは

精一杯の抵抗なんだね

「あまりりす」
(歌:山口百恵、作詞: 松本隆、作曲: 岸田智史、編曲:船山基紀)

『散りゆく花』
どんな映像を浮かべますか?

「あまりりす」は
悲しげなギターのイントロに続いて
静かに、うつろに、
「散りゆく花が、、、」と
歌いはじめる山口百恵

すごく美しい歌い出しだと思います

日本に生まれてよかった
THE日本的とでも言える
繊細ななにかが
この曲にはあるようで

理由など特にないのに
今日はなにもしたくないと
虚無におそわれる日は…

部屋でひとり
「あまりりす」を口ずさんで
冬の個人的な行事、
my 冬ごもりの日 にしませんか

◆それでも生きてゆくという達観 

ワンコーラスめに、こんな歌詞があります

私ときたら 愛をなくして

血の気も失せたかなしみの中

それでも生きてゆくのです

「あまりりす」
(歌:山口百恵、作詞: 松本隆、作曲: 岸田智史、編曲:船山基紀)

悲しみにくれている
山口百恵の歌い方は
「死ぬか生きるかと迷う力もない
きっと生きていくのだろう…
世のさだめに従って」
と聞こえます

この歌を口ずさんでいると
私も歌の主人公と同化して
生きていく自分に気づきます

◆子供の頃、心に刻まれた呪文 

遠い昔の話ですが

私が保育園に通っていた頃
近所に年上のお姉さんがいました

その人小学生だったか中学生だったか
覚えていません

ごくたまに家の前の通りで
一緒になったりすると
遊んでくれました

私はそのお姉さんがすごく好きで
もっと親しくなりたい
いっぱい遊びたいと思っていました

心底あこがれて
崇拝してしまいそうな予感
なぜそう思ったのかわかりません

小さい頃って
こういう出会いがあるものですよね

ある日の午後
めずらしく他の子はいず
お姉さんと私二人だけが
通りにいました

地面にローセキでお絵かきをして
お絵かきに飽きると
ブロック塀にもたれて
ただなんとなく立ってた
(ぼんやりとした記憶)

その時おもむろに
お姉さんが言いました

「人って、自分自身のことなら
簡単に動かすことはできるけど、
他人のことを動かすのは
ものすごく難しいことなんだ」と

どんな話の流れで言ったのか
全然覚えていませんが
こういうことを言ったのだけは
確かです

もっとも心のことではなく
モノ(身体?)を動かすことについて
実用的な話をしただけかもしれません

私は心のことと受け止めたんです

私はウサギがものすごく飼いたくて
めずらしく母に飼ってほしいと
強く頼み込みましたが
「生き物は大変だから」と
受け入れてもらえなかった

その出来事の
すぐあとだったから
かもしれません

(そうなんだ。だったらできるだけ自分は動いてあげよう)
そんな気持ちと
(人はこっちがどんなに望んでも思い通りになってくれないものなんだ)
という断絶感

ここまで言語化できていませんけど
ひとつの理(ことわり)を
知ったのだと思います

その証拠に、
早速そのことを家族にも教えたくて、
しきりにお姉さんに聞いた話を家でしました

「ねえ、お母さん。
自分ってすぐ動かせるよね。
でも人を動かすのは大変なんだよ」

こんな拙い言い方を繰り返して伝えました
家族からの反応は特になく
「??」だったかもしれません

小学校に上がる時、
我が家は引っ越したので、
お姉さんとは会うことがなくなりました

あの昼下がりのワンシーンと言葉だけ
私の中で通奏低音となって続いていました

◆人の心についての美的通奏低音 

その7~8年後でした
「あまりりす」を聴いて
歌詞の中に通奏低音となっていたものを
見つけました

2番の歌詞です

風は花粉を運んでいくのに

人の心は動きもしないの

「あまりりす」
(歌:山口百恵、作詞: 松本隆、作曲: 岸田智史、編曲:船山基紀)

ずっと私の中で続いていたモチーフが
こんなところにぬっと顔を出した

「人の心は動きもしないの」
この語感

よくある描写かもしれませんが
お姉さんの言葉と同化していました
このことだ、懐かしいな
と思いました

「あまりりす」
1番を静かに終えて
2番に入ると
ドラム・ベースが追加され
主人公の孤独が
臨場感を増してきます

その出だし「風は花粉を~」
「風は」の部分を聴いてみてください

「か」KA の文字
その発音の背後に
冬が、日本の冬の感じが、
怖いぐらい漂っています

ここ大好きです

◆まとめ 

  1. 「あまりりす」は部屋でこもるときに身を包む毛布SONG
  2. 「それでも生きていくのです」と歌う山口百恵の言葉を聴いていればいい
  3. 幼い頃の記憶が、歌の向うからあなたをもう一度呼ぶことがあります
  4. 百恵の歌う「風 KAZE」に、寒い冬がすごくわかる

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