アルバム『花ざかり』
(1977年12月発売)の
9曲目に収録されている歌です
「ドライフラワー」
歌:山口百恵
作詞:岸田智史
作曲:岸田智史
編曲: 船山基紀
◆捨て曲なしのアルバム、今こそ花ざかり
アナログレコードでは
A面・B面の構成になっているので
B面の3曲めにきています
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『花ざかり』全12曲
A-1 花筆文字
A-2 陽のあたる坂道
A-3 悲願花
A-4 言はぬが花
A-5 青い羊歯 -アジアンタム-
A-6 飛騨の吊り橋
B-1 秋桜
B-2 あまりりす
B-3 ドライフラワー
B-4 1 ²/3
B-5 最後の頁
B-6 寒椿
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「秋桜」(シングル曲)
↓
「あまりりす」
↓
「ドライフラワー」
この3曲。
コーナーを優雅に曲がり終え
さあ直線コース!
ってどんどん展開していく
そんな充実感がある
(この感じはアナログレコードならでは?)
『花ざかり』鑑賞の宴もたけなわ
とりどりの花たちに囲まれて
楽しさがじわっと湧いてくる
リスナーは狭い部屋から飛び出して
どこにいるかというと……
パリの裏町の花屋さんに
いつのまにか飛んでいます
それはこの歌詞からのイメージです
パリの裏町の花売り娘
売れ残りのバラを飾ってあげた
優しさにバラは涙流し
ドライフラワーになったと言う
「ドライフラワー」
(歌:山口百恵、作詞:岸田智史、作曲:岸田智史、編曲:船山基紀)
「パリの裏町」というフレーズと
花売り娘とバラが心を通わせるという
メルヘン風の逸話は
アルバムの中でも特異な色彩を放ち
全体にメリハリをつけるのに
大きく貢献していると思います
ドライフラワーについて
ちょっとネット検索してみましたが
この花売り娘のエピソードは見あたりませんでした
作詞の岸田さん、
たった4行でこの表現!
この歌の制作秘話を聞いてみたいです
◆アレンジと詩から生まれる大人のイメージ
「ドライフラワー」が流れると
つい歌い出しています
かなり高い確率で歌っちゃってます
わたしだけじゃないのでは?
まずイントロがふわぁっと明るめで
都会的で軽快なボサノバ調
キーボードやサックスの
つややかな質感がとても心地いい
そして、
なめらかに始まるヴォーカルは
キーがちょうどいいし(女性)
展開が明瞭でハイセンス
だから歌っちゃうのか?
でも詞の内容は悲しくて、
「さよならから2年目の冬」の
荒涼とした心の内を吐露しているものです
アコースティックギターが
歌い出し(Aメロ)の奥で
悲しい音色をひっそり奏でています
ギターだけ聴いていると涙がでそう
いいアレンジですね
このアレンジと歌詞との組み合わせこそが
(あ、なんか素敵だな)と思える
大人のイメージではないでしょうか
これをよく聴いていた当時
13歳だったわたしは
未来のなりたい大人像に
この歌の女性を重ねていたのかも
◆「ドライフラワー」ライブver.も聴いてみよう
『花ざかり』発売の翌年(1978.8)
百恵ちゃんは
ライブで「ドライフラワー」を歌いました
新宿コマ劇場での「第4回百恵ちゃんまつり」です
スタジオ録音盤と聴き比べると
ライブ盤ではテンポが少し速いです
サックスのつややかさはそのままですが
Aメロでは
悲しいアコースティックギターではなく
ベースギターとキーボードがメインになってるようでした
百恵さんの歌唱は
ライブならではの生歌感があり
ピッチのかすかな不安定感も(それもうれしい)
際だっているのは感情の込め方
オリジナルよりも豊かな表現になっています
「涙の色も変わっていたでしょう」のところは
一瞬「ラスト・ソング」
(歌山口百恵、作詞作曲谷村新司、編曲萩田光雄)
を思い浮かべてしまいました
◆まとめ
- アルバムの佳境に入る3曲!「秋桜」「あまりりす」「ドライフラワー」
- パリの花売り娘の逸話。たった4行の詞に心が温められました
- 軽快に揺れながら始まる百恵ヴォーカルにつられてリスナーもきっと歌いたくなる
- 荒涼とした心情をアレンジが明るく包む。その大人っぽさに憧れました
- ライブバージョンの山口百恵の歌唱は情感たっぷりなので聴き比べるとおもしろいです
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