山口百恵「言はぬが花」

◆小泉今日子「ヤマトナデシコ七変化」の編曲家・若草恵氏 

「言はぬが花」

歌:山口百恵
作詞:阿木燿子
作曲:宇崎竜童
編曲:若草恵

アルバム『花ざかり』
A面4番めの歌です

阿木燿子さん・宇崎竜童さんのコンビ作品は
このアルバムに4曲入っています

編曲の若草恵(わかくさけい)さんは
「言はぬが花」「寒椿」を担当
百恵作品全体でもこの2曲のみでした

他にどんな曲をアレンジされているか
調べてみると(Wikipedia)
たくさんあって驚きました
(若草氏が男性と知ったのも驚き)

例えば

「ヤマトナデシコ七変化」小泉今日子

「難破船」中森明菜

「夜桜お七」坂本冬美

「哀愁のカサブランカ」郷ひろみ

…なども若草氏のアレンジでした

『花ざかり』全12曲の編曲に
名を連ねているのは
全部で5人の方です

・若草恵(2曲)
・萩田光雄(5曲)
・川村栄二(2曲)
・船山基紀(2曲)
・佐藤準(1曲)

どの曲をどの編曲家さんに
お願いするのか…
きっと決め手があるのでしょうね

アルバムの統一感も保ちつつ
1曲1曲の世界観を創る
すごいなと思います

◆ファンキーで楽しい歌「言はぬが花」

私は長らく気づかなかったのですが
阿木燿子さんの詞は
「言わぬが花」ではなく
「言はぬが花」なんですね

「黙っているほうが趣きがある」
といった意味です
世阿弥の『風姿花伝』にでてくる
「秘すれば花」のようなニュアンスでしょうか

最近使わなくなりましたが
言わない方がいい
ここは黙っていよう
という場面ってどんなときか
意識してみるのもおもしろいですね

曲はすごくノリがよくて
軽快に
ひたすら楽しく進みます

ファンキーなピアノが
ヴォーカルに寄り添うように
おどけて見せて
かわいらしい世界を作っています

いろんな楽器が
各々弾んだり転がったり
お祭り会場のオープニングのような
踊りだしたくなる演奏

◆山口百恵の才能また発見!サラッと聴くか、じっくり聴くか 

百恵ちゃんのヴォーカル
声の出し方そのものが
「楽しいんですわたし!」調で
引き込まれてしまいます

でも、楽しいよ!おどけますよ!と
誇張してこないから
サラっと聴くことができる
…これは
山口百恵の最大の特徴

よく聴くと、
微細にわたって
表現の仕方を変えていると気づきます

それが全体として
正しいバランスになっている
絶妙にいい「加減」ができている
ここに感動するんです

もっと正確に言うと
「言はぬが花」で
感動する気などないのに
感動させられてしまうという結果になる

山口百恵の聴き方は

➀サラッと聴けて飽きない
落ち着くなぁ~

②じっくり聴いてみたら
なんかものすごく感動しちゃった

この2コースがまずあって
どっちの道へ行っても聴ける良さが
あるのではないでしょうか

◆「60回のチャッチャッチャラー」がある難曲?淡々と歌うわけにはいきません 

「言はぬが花」の構造を
便宜上符合で表させていただきますと

【A部分】…Aメロディ+ことわざ 

これが5セットあります(A①~A⑤)
ラストのことわざ部はリフレインあり 

歌い出しは、
「あなたの」「お宅へ」
です

「あなたの」「お宅へ」
「チャッ・チャッ・チャラー」
「チャッ・チャッ・チャラー」

同じパターンのフレーズ

コードを変えつつ
4+4+4=12回、
1セットの中で繰り返されます

5セットで、
12回×5=60
1曲の中に計60回の「チャッチャッチャラー」が
入っている曲
ということになります

頭の1音のどっしりとした安定性
詩の豊かな表現
ところどころの変化球
このあたりが作品の決め手になってきそうです

【B部分】…Bメロディ

これはA部分の4つめの後に
1回だけ入ります 

B部分、やっと1つくる
歌のテーマがここに隠されてる?
そんな期待の部分です

◆山口百恵の歌い方が実に多彩でいい「加減」

百恵ちゃんの歌い方
少し例を挙げてみます

A①

「道すがらっ」
⇒ 弾んでいる

「小さな抜け道を」
⇒ 秘密をささやく感じ

「見つけた事を」
⇒ おもしろ姉さん風
⇒ 息つぎせず一気にいっちゃう詰まり感も表現になってる

「あなたに何んと」
⇒ 女性らしい響き

「御報告いたしましょうか」
⇒ やる気満々の「報告」の「ほ」
⇒ 「か」の軽さ

A②

「送って下さらないから」

⇒ 「らぁ」放り投げる

A③

「七転び八起きね」(歌詞カードでは「七到び」)
⇒ 語尾がセリフ(変化球)

間奏

A④

「ブルドックに途中」
⇒ 「こわいよぉ~」の演技(超変化球)

B①

「こわいのです」
「ここまで来ると」
⇒ 「来るとーー」伸ばーす
一番歌う(貴重なB部分)

A⑤

「なんてホント」
「できすぎていますね」
⇒ 笑っちゃってる

「言はぬが花ですね」
⇒ 小さく

「できすぎていますね」
⇒ また笑う。もっと小さく

「言はぬが花ですね」
⇒ (ドラム打)大きく
(ラストを締めくくるフレーズ)

◆「言はぬが花」と「悲願花」それぞれ完璧だということ 

こうして分析して聴くのは
興ざめかもしれませんが
4分間足らずの歌に
いろいろな味付けがされていました


アルバムの1つ前の曲が
「悲願花」だったことを
思い起こしてみてください
「これこそ山口百恵の歌」と
私は思いました


その次がこの「言はぬが花」ですよ
ギャップありすぎ!
びっくりします


でもこちらはこちらで
主人公の
かわいらしさ、ときめきが
いきいきと感じられる
見事な表現でした

まるで違うタイプの2曲
どっちがいいか…
甲乙つけがたい完璧さだと思います

◆まとめ

  1. 阿木さん・宇崎さんコンビによる作品、アレンジは若草恵さん
  2. ファンキーなピアノが弾んで転がって、楽しくなっちゃう曲
  3. サラッと聴けて心地いい山口百恵、じっくり聴いたらすごかった山口百恵。2コースからお好きにお選びください
  4. 微細にわたって表情を変え、全体のバランスがいい百恵お姉さまの「言はぬが花」
  5. 60回もの「チャッ・チャッ・チャラー」は豊かな表現力が決めて
  6. B部分「こわいのです、ここまで来るとー」「とー」の伸ばしが私はとても好き
  7. 「悲願花」の次に「言はぬが花」とはギャップが大きすぎて驚くが、どちらも完璧なことに舌を巻く

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