山口百恵「SEINEより愛をこめて」

◆ここで初登場!谷村新司さんの作品 

アルバム『GOLDEN FLIGHT』の
B面4曲めです

「SEINEより愛をこめて」
歌:山口百恵
作詞:谷村新司
作曲:谷村新司
編曲:加藤ヒロシ

谷村新司さんの作品初登場!
突然ポンっと1曲出てくる

まだシングル「いい日旅立ち」
(作詞:谷村新司、作曲:谷村新司、編曲:川口真)
が出る1年以上前です(1978年11月21日発売)

それから、ご存知のように
アルバム『GOLDEN FLIGHT』
ロンドンで録音されたアルバムなのに

「SEINEより愛をこめて」って
パリを流れるセーヌ川がタイトルになってる!
急に舞台がフランスに飛ぶのはどうして?
不思議です

◆パリでドラマ「赤い〇〇」の撮影後、ロンドン入りした百恵 

「セーヌ川」の歌がなぜ?の疑問に
すばらしい答えをみつけました

ずっと山口百恵の音楽プロデュースをされていた
川瀬泰雄さんの本の中にありました
まずは引用させていただきます

ロンドン・レコーディングなのに、なぜ「セーヌより愛をこめて」なのかという疑問があると思う。勿論、セーヌ川はロンドンではなくフランスのパリに流れている。

これは、レコーディングでロンドンへ出発する前から、百恵をパリに迎えに行くというスケジュールが組まれていたために、谷村氏にセーヌを題材に作曲してもらったためである。

百恵は、TBSのドラマ『赤い激流』(1977年6月3日~11月25日放送)のロケをパリ在住だった岸恵子さんとの共演で撮影していた。

撮影の終了した翌日、予定どおりに百恵を撮影現場に迎えに行きロンドンへ向かった。

(『プレイバック 制作ディレクター回想記音楽「山口百恵」全軌跡 』(川瀬泰雄氏 著、学研教育出版、2011/2/25発行)P198より引用)

ありがとうございます
この貴重な記録にはいつも教えられています
「そうだったのか!」と何度感動したことか
まさに百恵ファンのバイブルです

労を惜しまず執筆され
世に出してくださった川瀬さん、
本当に感謝しています

同じ章にもう1か所、貴重な記載をみつけました

僕がプロデュースをしていた浜田省吾氏、百恵からのアイデアで、谷村新司氏などにアプローチすることにしたのだった。

(『プレイバック 制作ディレクター回想記音楽「山口百恵」全軌跡 』(川瀬泰雄氏 著、学研教育出版、2011/2/25発行)P188より引用)

【わかったこと】
◆百恵ちゃんはパリにいた
『赤い激流』のロケだった(岸恵子さんと共演)
(百恵ちゃんは第1話(6月3日放送)にゲスト出演)
◆ロンドンから百恵ちゃんをお迎えに行った
◆すべて予定どおりの事で、
谷村新司さんには「セーヌを題材に」と曲を依頼していた
◆谷村さんに曲を依頼したのは山口百恵本人の提案

百恵「谷村さんを歌ってみたい」
パリからロンドンに来る予定の百恵ちゃん
⇒「セーヌを題材によろしく~」
谷村新司作品第一弾はこんな風に生まれたんですね

あれこれ勝手に思いを巡らせますと、、、

ただ仕事して通り過ぎるだけじゃもったいない
「百恵のパリ」を歌おう
谷村新司さんがピッタリだろう
異色であってもバンドが統一感をだすから

ロンドンといっても狭くまとめなくていい
大陸に片足かけて
ヨーロッパの空気も呼び込もう
…とかかな?

今なら、パリ⇒ロンドンって直行便で1時間ほど
ホント近いわ!

色々想像しながら
1枚のレコードをまた新鮮に楽しむことができそうです

◆新譜『百恵白書』発売当初、もう百恵はロンドンで次作の吹き込みをしていた 

パリの百恵ちゃんを迎えに行ったのは
『赤い激流』ロケが終わった翌日、
「1977年5月25日」(前掲書 P190より)だったようです

そしてレコーディングは5月27日
LP添付の写真でも
百恵ちゃんが指さす予定表の上に
「FRIDAY 27TH MAY 1977」とあります!

さて、前作『百恵白書』の発売日は?
1977年5月21日

わたしたちが新譜『百恵白書』を聴いて
「このアルバムいいね~!」なんて言ってる頃
ロンドンではもう次のレコードを作っていた!

『GOLDEN FLIGHT』の発売日は
⇒ 1977年8月21日 です

「歌録り」から数えても
編集~ジャケット写真~仕上げ~などを経て
全国の店舗にレコードが並ぶまで
3ヶ月かかっている

では『GOLDEN FLIGHT』が店に並ぶ頃には
もう次のLP『花ざかり』
取りかかっていたという感じでしょうか?

全体的に百恵ちゃんのアルバムは
年3枚(もしくは2枚、4枚)
季節と追いかけっこするように
テンポよくリリースされています
まさに『激流』

でもその恩恵は一生涯という、、、
幻の保険ですね
あ、もちろん今からでも
どなたでも加入できます(笑)

◆あの谷村新司?とわかるほど「アリス」は若者に支持されていた 

当時のことを回想してみますと、、、

『GOLDEN FLIGHT』が出るより前、
我が家には

『アリス Ⅴ』(1976.7)
…谷村さんたち3人のバンドのLP
(「冬の稲妻」はそのあと1977年10月)

『引き潮』(1976.12)
…谷村新司さんのソロアルバム
などがありました

若者のアリス人気
じわじわ確実にきていたんです

中1の私は
アリスの「今はもうだれも」や
谷村さんの「この空の下」などを
好んで聴いてました

谷村新司のソロは独特で
暗いトーンで、時にドラマチックに
人生を描く
そんな世界に少しずつ魅かれていた私でした

だから、谷村さんの曲がしれ~っと
百恵ちゃんのアルバムに入っていたのは
サプライズでした

「えっ?これ谷村新司って書いてある」
「アリスの谷村さんのことだよね?」
「きっと素敵な歌だろうな~」
と歓声を上げつつ
レコードに針を落としました

やはりその期待を裏切らなかった
これだ、これだ
谷村さんが百恵ちゃんに作った歌だ
と、かなり繰り返し聴いたものです

◆聴いてみよう。パリの空に山口百恵の歌声 

今改めて、当時の新鮮な気持ちで
「SEINEより愛をこめて」
聴いてみよう

涙さえも流れない そんな深い悲しみが

「SEINEより愛をこめて」(歌:山口百恵、作詞:谷村新司、作曲:谷村新司、編曲:加藤ヒロシ)

断然いい!

歌声の力強さ
百恵ちゃんの生声が
パリの曇り空を
昇っていくのが見えた
(なぜか曇りをイメージします)

谷村さんのスピリットに誘発された
山口百恵の世界
これぞ好みという百恵ファンは私だけでないはず

一体なにが?
よくわからないのですが心が震えます
確実に好きな世界がここにある

夢よ恋よ憧憬よ たった一度の人生

かけてみたい貴方なら これが最後の恋かも

「SEINEより愛をこめて」(歌:山口百恵、作詞:谷村新司、作曲:谷村新司、編曲:加藤ヒロシ)

「貴方なら」の「なら」
「これが」から、一字一字情感を込めて続くフレーズ

聴いてみてください
なんか泣けてきました

「貴方なら」の語尾だけスッと弱まる
自分の内側で確かめる風な表現
続く「これが」は、なにを思うのか
この切なさはなんなのか

そんな箇所がいくつかありました

引退して嫁いでいった百恵さんの人生を思うと
こういう詞をなぜ書いたのだろうと
人知を越えたふしぎな縁を感じます

さだまさしさんの「秋桜」より前に
谷村新司さんも無意識に
なにか感じるところがあったのかもしれません

「SEINEより愛をこめて」も
A面3曲めの 「LIVERPOOL EXPRESS」 同様

帝国劇場の「リサイタル」で
20歳の山口百恵に歌ってほしかった!

◆ロンドン盤のバンド演奏はクセになる 

LP9曲目にして
急に入ってきた「フランス、パリ」の歌
谷村新司さんらしい作風

それでも演奏は
A面1曲め 「MADE IN U.F.O.」 から
ずっと同じロックンロール・ガイズの音

私はここに来てはっきりわかりました
このバンド演奏はクセになる

他のアルバムだともう違うのかぁ、、、
ロンドン盤だけの音だったんだな
そんなさびしさ

ベース、ドラム、ギター、サックス、ピアノ…
1人1人の演奏家の姿、お顔は見ていませんが
そこにいる!という近さで演奏を楽しんできた
そんな実感があります

ひとり家で過ごす土曜日の晩には
ビール片手に
時にはリズムに乗って
踊ったり歌ったりしながら
彼らの演奏を楽しむと最高でしょう

◆(おまけ)『赤い激流』第1話見てみる 

『赤い激流』は当時見ていたと思いますが
覚えてません

さっそく第1話(1977年6月3日放送)を見てみました!
百恵ちゃん本当にパリに行ってますね
アパルトマンのバルコニーから
エッフェル塔が見えました

「これだけでパリロケ?」っていうくらい短い
ロンドン録音とくっつけるのも納得!
(パリ自由観光のはずだったらごめんなさい)

でも短くても女優・山口百恵
自然な演技でステキです

その演技を見ながら
(このあとロンドンね)
(明日お迎えがくるのよね)
(曲覚えて歌うやつもあるよ)
と…画面に向かって思う楽しさ

「髪型」は?
一時停止して見てしまいました
ちょっとぼわっと膨らんでいたけど
「ロンドン盤」の髪型だ!

やっぱり本当だったんだ~
と、うれしい

YouTube を探して出てきました
見てみてください!

◆まとめ 

  1. 「いい日旅立ち」に先駆けて谷村新司による最初の百恵作品
  2. ロンドン収録盤にセーヌ川の歌が1曲入っている
  3. 百恵ちゃんはパリで『赤い激流』の撮影をしてからロンドンに行った
  4. 谷村新司さんに曲を書いてもらうのは『百恵のアイデア』だった
  5. 谷村新司さんには「セーヌを題材にした曲を」と依頼していた
  6. 待望のニューアルバム『百恵白書』発売!その頃もう次作『GOLDEN FLIGHT』をレコーディングしていた
  7. アリスファンは「え?百恵ちゃんのレコードに谷村さんの名が!」と驚いたのです
  8. 「SEINEより愛をこめて」は山口百恵の人生。詞の不思議さに感動する
  9. 『GOLDEN FLIGHT』のバンド演奏はクセになる。何度も楽しめる1枚
  10. アルバム制作秘話を踏まえて『赤い激流』第1話を見ると楽しい

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◆スタジオ最後のラジオ放送で選んだ曲は、谷村新司さんの「それぞれの秋」でした

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