◆トワイライトの空はどんな色?
山口百恵初のロンドン録音盤
『GOLDEN FLIGHT』(ゴールデン・フライト)
(1977年8月21日発売)B面1曲め
「愛のTWILIGHT TIME」
歌:山口百恵
作詞:伊藤アキラ
作曲:浜田省吾
編曲:加藤ヒロシ
トワイライトタイム
日が傾いて
あたりが少しずつ暗くなっていくとき
ロンドンの夕暮れは
どんな雰囲気でしょう
思い浮かべてしまうのは
映画『LA LA LAND』のワンシーンのような
(アメリカですけど)
透明感のある美しいブルーかな…
◆ノリのいい「愛のTWILIGHT TIME」を聴いてみよう!
サビ始まりの
ノリのいい元気な演奏!
イントロのリフがイギリスっぽくて
意外にも楽しい系ソングです
「別れ」を歌った詞なのに
「とりあえずうちに泊まりなよ」
「家庭料理でも食べてさ」
と言ってくれるみたいな
あったかい演奏
4曲目の 「AIR MAIL」 に続いて
これも浜田省吾さんによる作曲
カラッとしたポップス
アクティブですね
「薄いブルーの夕闇が…」という歌詞
「ブルー」の歌い方が
こちらの先入観かもしれませんが
心なしかハマショーっぽく聴こえます
この曲は後に浜田省吾自身が詞を変えて
セルフカバーしています
「火薬のように」
(作詞・作曲:浜田省吾、編曲:水谷公生)
という歌で
シングル「東京」(1980.10発売)の
B面になりました
歌詞とヴォーカルが変わると
もう別の作品になるんですね
◆旅愁、そして髪型と腕輪問題
イントロで鳴り響くサックスの音色が
夕暮れの空を思わせる
その美しさと
少しの旅愁
早く日本に帰りたい…
ほんの一瞬よぎる思い
百恵ちゃんにも
こんな一瞬があっただろうか?
2番の歌詞
短い髪の毛も
腕輪もあのひとの好みにぎわう人ごみに
ポツンと私の影がある愛していても 愛されなくて
ひとり ひとり
「愛のTWILIGHT TIME」
(歌:山口百恵、作詞:伊藤アキラ、作曲:浜田省吾、編曲:加藤ヒロシ)
「短い髪の毛」
「腕輪」
LPレコードのジャケットを
覚えていますか
百恵ちゃんの髪は短く
右手には
蛇が巻きついた腕輪
左手にも
細いブレスレットを付けています
付属の歌詞カードの写真で見ると
右手の腕輪(バングル)は
⇒
はっきり蛇とは確認できませんが
蛇の頭っぽい三角形あり
頭も尻尾も三角形で尖っている
(尻尾が「にょろ~」となってるワケではない)
色はシルバーメインらしい
撮影直前にロンドンで調達したのかも?
まあ細部はともかく、
歌の主人公が山口百恵に近いイメージです
伊藤アキラさんの工夫でしょうか
リスナーは
「ショートヘアも腕輪も
あのひとの好み?」
「あのひとって誰だろう?」などなど
ここだけ取り上げて
思いを馳せてしまいます
◆「愛されなくて」をどう歌うかについて
ここの詞はどうでしょう
「愛していても愛されなくて」
「ひとり ひとり」
「数式」みたいにバッサリです
一方通行の愛の答えは
どうあがいても「ひとり」
まず事実を冷徹に受け入れている
日本のジメジメ気質とちがって
ヨーロッパらしさが
詞に表れている感じがしました
この数式を
どんな風に歌うのが理想だろうか?と
歌手じゃない私でも
ふと考えたくなります
「情感たっぷりに泣きを入れて歌う」
⇒これはない。
「カラッと笑顔でめいっぱい明るく歌う」
⇒これもない。
悲しげには歌わない
割り切りすぎて浮かれない
でも「そんなものだよね人生」って少し伝えたい
⇒そんな歌い方がいい
願っても願っても叶わないことってある
たくさん泣いて
ひとりぼっちから逃げて
でも結局受け入れるしかない孤独
人それぞれの経験が
自然と味わいを出していく
(なら素敵だな、、、)
と思ってしまう箇所です
山口百恵の歌い方はどうでしょう?
「愛していても」は…
え?急にささやくように
弱めてきました
古風な日本女性の如く楚々と
そして「愛されなくて」は
普通にはっきり強いです
冷静に事実確認
ほんの少しの怒りともとれる
いいですね
いい声!なおかつクールです
「ひとり ひとり」は
最初の「ひとり」は
やはりはっきり普通にいい
次の「ひとり」は
ここで迷いでも生じたのか
(気が散ったのか?)
「とり~」がやや曖昧になります
そもそも進んでは止まり
一体どっち?と言いたくなる
迷いの歌なんですね
暮れなずむ空のように
全体的には
パンチの効いた
いつもの百恵ちゃん声で
かっこいいのです
◆まとめ
- 別れの歌にしては楽しくあったかい演奏でノリノリサウンド
- 作曲した浜田省吾さんも「火薬のように」というタイトルでセルフカバーしている
- 間奏に旅愁を感じて早く帰国したくなるかも
- アルバムジャケットの百恵ちゃんを思わせる詞「短い髪と腕輪」
- 蛇か蛇じゃないか?百恵ちゃんと同じ腕輪(バングル)が欲しくなる
- 「愛されないイコール孤独」の数式にヨーロッパを思う
- どう歌うかでその人の人生観がでる、という歌詞がある
- やっぱりクールな山口百恵の声
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