山口百恵「Liverpool Express」

◆ジョニー大倉作曲、全く違う雰囲気の歌

ロンドンでレコーディングした
アルバム『ゴールデン・フライト』
(1977年8月21日発売)の
A面3曲目に収録されています

「Liverpool Express」(リバプール・エキスプレス)
歌:山口百恵
作詞:岡田冨美子
作曲:ジョニー大倉
編曲:加藤ヒロシ

曲は LP2曲目の「BLACK CAB」と同じ
ジョニー大倉さん

詞を書いた岡田冨美子さん
百恵ちゃんへ提供した詞は
この1曲だけでした

◆渋いバラード、ちゃんと聴いてみよう

一体これは…?
2曲目までのノリのいいロックから一転
哀しいブルース調
ここでこうくる?

浮かれていたリスナーは
百恵の歌い語りするドラマの中へ
放り込まれてしまう
プレイヤーの前でじっくり聴くべき曲です

朝もや
去って行った人
残された者

異国の寂寥感がなんて美しいのだろう
これこそ旅の真髄!

百恵ちゃんのヴォーカルは
18という年齢の持ち味が
すごく出ていると思います

若さと老成感の混ざり合い
まるで
澄んだガラスに沈んだ
緑のオリーブの実

4分程度
3コーラス
あっという間なのですが

語りすぎない詞と
淡々と感情を抑えることで
慟哭が聴こえてくるようなメロディ
ものすごい組合せ

別離の歌とはいえ
力強さとカッコよさが胸に響いてくるのは
ロックを愛したジョニーの曲だからではないでしょうか

そして
演奏もヴォーカルも一丸となって
創るべきものを真っ直ぐ見ている
「百恵のLONDON盤はこういうアルバムだよ」
「聴いてくれ」
と言ってるよう

名曲です

◆リヴァプールという場所

「リヴァプール」と言えば?
「ザ・ビートルズ」と答える人が多そうですね(サッカーも?)
ビートルズのメンバー4人とも
リヴァプール出身です

かつては貿易港として栄えた都市
今はビートルズファンたちが
世界中から訪れる観光都市になっています
(2004年世界遺産に登録)

リバプール・ジョン・レノン空港
という空港がある
遅ればせながら知りました

作曲のジョニー大倉氏は
「かなりのビートルズ·フリーク」だと
(参考記事 ⇒ 山口百恵「BLACK CAB」

作詞の岡田冨美子さんと組んで
どういう曲にしていくか
コンセプトが出来ていたと想像できます

わたしはイギリスへ行ったことないですが
この歌の世界に浸りきって
「あなた」が乗ったかもしれない
「Liverpool Express」に乗ってみたいな、、、

ちょっと調べてみました
『バージントレインズの高速列車』
ある日の運行だと、

8:07 ロンドン・ユーストン駅発

10:19リバプール・ライムストリート駅着
(所要時間、2時間12分)

早朝に乗り込めば
1等席なら
イングリッシュ・ブレックファーストが
楽しめるそうです!
(マックスビスタトラベルHPより)

新幹線「のぞみ」で
東京⇒新大阪(2時間半)くらい
あっという間です

「Liverpool Express」の
歌のイメージは
現実にはないのかもしれません

それでもイギリスへ
夢を探しに
行きたくなりました

◆百恵20歳『リサイタル』で起きたこと

「Liverpool Express」が
収録されたアルバムが
リリースされたのは
1977年8月(18歳)

2年後、
『リサイタル―愛が詩にかわる時―』でも
この曲がセットリストに入っていました
1979年10月(20歳)です

20歳の山口百恵
なぜ「リヴァプール」を歌ったのだろう?

この歌が好きで
この歌の良さが一層わかってきた
だから今ステージで歌いたい
18の時とは違った
今の自分の表現で
歌ってみたい
……などなど勝手に想像しています

私個人的には
「リサイタル」で歌われたことで
「Liverpool Express」は完全に花開き
百恵作品の中でも不動の名曲のひとつとなった
と感じています

リサイタル盤「Liverpool Express」の
山口百恵の歌唱は

「耳に聴こえてこないもの」が
完全に主になっていて
私を圧倒する

聴こえてくる音楽や言葉を通して
聴こえてこない間(音のないところ)の全てが
すさまじくそこに
はっきりとある
流れている

2コーラス歌い終わって
間奏が入ります

サックスが響きわたり
3コーラス目の歌への期待感を高めていく
ここの間奏を
聴いてみてください

サックスではなく
自分の歌い始めを待つ百恵を
声を発せず
息もしないで
待っている百恵を
よく聴いてみてほしいのです

歌わない百恵
待っている百恵

こんなに感銘をうけるのは
驚きとしか言いようがない

3番「おまえは、、、」と歌い出す
ほら、耳を澄ましつづけた聴き手を
裏切ることなく
続いていた”それ”

聴こえていたのは
百恵の内側
息づき動いている情感

歌うとは本当はこういうことなんだと
わかる

そして
耳で聴けるもの(表現されたもの)と
隠されているもの(表現の源泉)の
反転が起こるがままに、

情感を隠しもせず
歌う百恵

どうしてか
歌手であることを
真剣に全うしている瞬間だから

いつも通り
それが奥義だとか意識もせず
サラッと

◆まとめ

  1. 作詞岡田冨美子、作曲ジョニー大倉。この作家コンビの百恵作品はこの曲だけ
  2. 異国の寂寥感漂うバラードに、ロックのようなカッコよさあり
  3. 英国 Liverpool はビートルズの生誕地。ロンドンから列車で2時間ちょい
  4. 18歳のレコード盤と20歳のライブ盤。山口百恵の変化がわかります
  5. (筆者感想)「Liverpool Express」はリサイタル(1979)で歌われた瞬間不動の名曲になった
  6. (筆者感想)間奏で「歌わない百恵」をじいっと聴いてみてほしい
  7. (筆者感想)表現の源こそが心に響く。歌うとはこういうことなんだとわかる



山口百恵リサイタルー愛が詩にかわる時ー(1979年)


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