山口百恵「ミス・ディオール」3分17秒の芸術

『百恵白書』B面4曲めを鑑賞してみよう

◆「ボーイッシュ・ベイビー」の次の歌 

「ミス・ディオール」
歌:山口百恵
作詞:阿木燿子
作曲:宇崎竜童
編曲:船山基紀

アルバム『百恵白書』
(1977年5月発売)の
B面4曲目に収録されています

やはりアルバムの
曲から曲への流れ(構成)は
感動を倍増させる力があるようです

元気なノリノリの曲から
しっとり繊細な曲に移ったその瞬間
鑑賞者を一気に惹きつける
別世界の雰囲気

「ボーイッシュ・ベイビー」
⇒「ミス・ディオール」

きらきらと変化する
全11曲の女性像の中で
「ミス・ディオール」は
ひときわ美しく響いてきます

◆百恵ちゃん自身のコメントは? 

アルバムと同じタイトル
『百恵白書』という
全68ページの楽譜&写真本では

「ミス・ディオール」に
百恵ちゃんはこんなコメントをしています

私が香水をつけるようになったのは、2年位前。勇気がいりました。とても……いろいろな香水をつけるわけでもないのに集めたりもしましたけど、一番好きな香りが、ミス・ディオールなんです。甘くて優しくて……。

「MOMOE STATEMENT 百恵白書(限定愛蔵版)」(1977年7月1日東京音楽出版株式会社より発行)

別の雑誌で「もうひとつ百恵」というのがあります。そのP70~P71に、百恵ちゃんがふだん使っているお化粧品の写真などが載ったページがあって、「Miss Dior」のほっそりしたミニボトルも写っていました。半分近く減っている、愛用品という感じです。

香水についてはこんな言葉が

『私はまえからディオール系のものが好きなの。香水というよりは、オーデコロン党ね。「ミス・ディオール」のさわやかな甘さがなんともいえないわよ。耳たぶのうしろに軽くつけるだけです』

(明星編集”山口百恵の本”『もうひとつ百恵』/昭和51年11月10日集英社発行/定価580円)

百恵ちゃんの好きな香水の名前を聞いて
そのままタイトルにして
阿木燿子さんが詞を作ったのですね

香水と音楽
親和性の高いアイティムです

歌の世界で
ミスディオールは
どんな風に香るのでしょう

◆幻想は翳りながらどこへ、、、芸術ここにあり 

冒頭から愁いに満ちたピアノ
ヴォーカルは
やさしくささやくように歌い
【ピアノと声】だけの
静かな演奏

「ミス・ディオール
(ミス・ディオール)」

追いかけるように
もうひとつ声が重なる

あたかも
微かな香りが
白いヴェールになって
空間を舞うように

幻想が連れ去る先は?
どこか緑に囲まれた家の
ほの暗い部屋か、、、?

「春の宵、、、」
のところから
ヴァイオリンが入る

歌、ピアノ、弦
シンプルで
なんて甘美な、、、と驚く

間奏で入るアコーディオンは
シャンソン風

いやシャンソン風にして
日本古来の恋の歌のよう
百恵独特の世界です

「今宵は眠れそうにない、、、」

せつなくて
苦しいです
こちらも同化して病んでいく、、、

でもぎりぎりのところで
明るく美しい

なぜかと思うに
【春の宵】のためではないだろうか

夜へ移ろう狭間
明るさと翳りが混じり合う
ほんのひと時
もの思う女性

宇崎竜童さんのメロディーは
翳りながら
ほのかな明るさを残し
またふわっと翳る

詩、曲、歌、編曲、、、混然一体感

感動してしまうのはもちろんですが
同じ人間なのに?と
自分の才能のなさが悲しくなるくらい
妬ましい3分17秒の芸術です

◆春の宵、薄墨色の調べ~百恵はどう歌う 

山口百恵の声は
やっぱり中音~低音が魅力的で
しっかりしているから
いいんだと思います

技法ではなく声そのもので
聴かせる歌手

声の細い歌手だったら
「ミス・ディオール」は
がらりと違った印象の曲になったはず

声の質に加えて
その人から来るものがあります
上手く言えませんが

日本の春の
昼~午後~暮れ方~夜へ
移ろいゆくときを

五感で感じ暮らしてきた
山口百恵の生活感や詩情が
自然と表れている

だから歌が身近に感じられ
いつまでも聴き続けていける

◆まとめ 

  1. アルバムの曲構成は<感動>を倍増させる
  2. 「さわやかな甘さ、やさしい香りの「ミス・ディオール」が一番好き」と山口百恵18歳
  3. 歌とピアノとヴァイオリンが甘くほの暗い幻想へ誘う
  4. もの思いに悩む女性の美しい恋の歌だった
  5. 「春の宵」がキーワード。翳りながらほのかに明るい宇崎竜童さんのメロディー
  6. 3分17秒の芸術。自分と同じ人間が創ったとは!
  7. 百恵ヴォイスそれだけでいい!そういう歌い手さん
  8. シャンソン風でありながら日本古来の恋の歌、百恵独自の世界

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