目次
◆さあ!ステージへ。登場前の百恵ちゃん
「間奏曲」
歌:山口百恵
作詞:阿木燿子
作曲:宇崎竜童
編曲:馬飼野俊一
『百恵白書』5曲目(A面ラスト)に収録されています。
私たちが客席で百恵ちゃんを待つ。その眩しいステージに登場する直前の姿が、この曲では描かれています。
◆貴重な舞台裏のショット!短い曲はB面へいざなう
・2分15秒の曲
セリフと短い歌で構成されています。
レコードの溝を見てみました。
写真の 【白い矢印】2つ見えますか?
長い矢印が「四人の少女に捧げる・約束」9分18秒 で、短い方が「間奏曲」2分15秒。可視化するとバランスとってる様子がひしひしと伝わってくる。
LP付属の歌詞カードを見ると、歌詞は「2行」だけしか書かれていません。でも歌の前に百恵ちゃんのセリフがあるんです。聴き取ってみます。
(セリフ)はーい。用意できました!
あら、このドレス意外と長いのね
なんだかすそを踏みそうあっ踊るとこね、、、位置がよく見えないの
黄色のチョークで書いといてくれないかな夢中になるとわからなくなっちゃうの
声、後ろの方まで聞こえてた?
そう、それならよかった
さあ行かなくっちゃ!
あっコーラひと口くれる?
(グッ)うーん、、、おいしい!
(観客のざわめき)
(歌)
幕間
舞台の袖
深呼吸心を通さず
体でときめき
つかむ一瞬
「間奏曲」(歌:山口百恵、作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童、編曲:馬飼野俊一)
◆リアリティはあるのか?「コーラひと口、あ~おいしい」を実験してみよう
・作り物かリアルか
セリフと言っていいのかどうか、、、この部分は「作詞:阿木燿子」としたら変ですよね。歌詞カードに載っていないのもうなずける。
私たちの知らない舞台裏の百恵ちゃんが準備に追われている様子を、ドキュメンタリータッチで少しだけ見せてくれるんです。
いっそ「本当の声」を録音したらどうでしょう? ざわめきもスタッフの声も全部入っててコンパクトに編集する。レコード化するよって時に百恵ちゃんが「やだーこれ録音してたの?LPに?、、、別にいいわよ(笑)」って許可するとか。
そこからスパッと歌に入るとカッコいいんじゃないだろうか。
制作者側は却下でしょうね。時代も今とは違う。アイドル歌手・山口百恵18歳。曲として提供するストーリーに「夢」の部分は必要と。虚の中に実をイメージとして感じるように。
でもほんのちょっとの「生の百恵」を入れるならここだったなぁと(引退したあとだからこその発想かもしれない)。
・内容を突っこむ
「黄色のチョークで踊る位置を書いといて」と百恵嬢は依頼してます。瞬時にスタッフさんが舞台に飛んで行って印をつけたと思いますが。
すぐあとの「さあ行かなくちゃ」から聴くと、まさにお客さんが入っている「本番」の始まり、ほんの幕間みたいです。【黄色い印】間に合ったかな?と気になる。
・コーラひと口の上品さ!~阿木燿子&山口百恵のセオリー?
コーラをひと口飲むところ。ごめんなさい今回聴きなおしてやっぱり笑ってしまいました。前からずーっと気にかかってた。「ごくっ」と飲むところの「グッ」程度の音。ひ、品が良すぎるでしょう。この音は何、、、?「百恵が実際に飲んだ音だよ」が正解だとしたら、いやいやどこまで品良く仕立てたいんだろうと。でもスターはこれでいい!
(追記)実験してみた!
「コーラひと口」とても飲みたくなっちゃって、飲んだら、、、あれ?「間奏曲」の「グッ」と同じ音だった!「ひと口」だと誰でもこんな感じなんですかね。やってみるもんです!もっとも「今からステージで歌うから」という体で本当に禁欲的にひと口ですよ。ヒマな方はまねしてみてください。
・「鏡の中のある日」も
ついでに言えば「A面2曲目」の「鏡の中のある日」で「薄めのコーヒーゆっくり飲んで」「小さなアクビ」もちょっと疑問視していました。
「エスプレッソコーヒー一気に飲んで」でもなければ「普通のアクビ」でもない。まさに優美な所作しかできない「上品な百恵お姉さまワールド」というお約束。事実ここに安心感を抱いていたのです。国民的スターですから。
◆歌や演奏を聴く~やっぱり風邪気味?花粉症?
・スチールギター
出だしから硬質で明るい弦楽器の音がする。
ピーンカーン
ピーンカーン
って。スチールギターでしょうか?
アルバム『百恵白書』の歌詞カードにはミュージシャンの名が記されています
ミュージシャン
キーボード: 羽田健太郎
ベース: 武部秀明
ドラム: 田中清司、森谷順
エレクトリック・ギター: 水谷公生、直居隆雄
フォーク・ギター: 吉川忠英、芳野ふじ丸
パーカッション: 斎藤伸雄、穴井忠臣
バックヴォーカル: ピープル・ミンツ
ストリングス: 多グループ
トランペット: 羽鳥幸次、数原晋
トロンボーン: 新井英治、岡田澄雄
テナーサックス: 村岡健
ホルン: 山口弘治、笠松長久、下館広起
ハープ: 山川恵子
アコーディオン: 風間文彦
スティール・ギター: 石田新太郎
スタッフ
プロデューサー: 酒井政利
ディレクター: 川瀬泰雄
構成: 阿木燿子
エンジニア: 田中三一
プロダクションコーディネーター: 金塚晴子
ジャケットデザイン: 山田充
フォトグラファー: 斎藤亢(『百恵白書』Wikipediaより)
歌詞カードでは楽器名は英語表記なんですが、
「Steel Guitar 石田新太郎」とあります
ずいぶん昔、百恵ちゃんがとっくに引退したあとのこと。職場の上司がカントリーミュージックが好きで、私含め部下たちをよくライブに連れて行ってくれたんです。銀座のカントリーの店に(今は残念ながら閉店したという「ナッシュビル」)。
そこで聴いたのが石田新太郎さん率いるバンドの演奏。石田さんは日本ではめずらしいスチールギターというのを弾いていらした。ヴォーカルも聴きました。カントリーもいいですね。私はギネスビールの小瓶を飲んでたなぁ。
それで後日、偶然歌詞カードを見たら「スチールギター」とあり「石田新太郎」と名があった。あのライブで見た方が百恵ちゃんの演奏にも参加されてたとは!と驚いたわけです。音楽って意外なところでつながるものですね。
・鼻声がやっぱり気になる
百恵ちゃんやはり鼻声?「なにぬねの」がつらそうです。全体としては気になりません。
仕事では多少の風邪でも身体が少しだるくても、気合いで持ちこたえなきゃ!という局面が多々あるんだろうな、、、と思わせる歌。つまりここで「生身の百恵」をチラ見させてた!その意味では「白書」大成功。(ゆっくり休んでください)
・ファルセット
まず「♪ときめきつかむ」の「♪つかむ」のところ、すごくミュージカルっぽく感じるのですが、私だけでしょうか(ミュージカル全く詳しくないです)
「♪一瞬~」はファルセットで終わる。鼻声状態で「ん~」を伸ばすのは厳しいのでは。エコーかかっています。「いた・せくすありす」の最後も「♪18の今~」とファルセットでした。
・「幕間」読み方
歌の最初「幕間(まくま)~」で始まります
「幕間」という字、パソコンで「まくま」と打っても変換されない。「まくあい」と入れると一発で「幕間」と変換されます。
演劇の世界では昔から「まくあい」と読んでいるようです。正しくは「まくあい」なのか、、、?「間」を素直に「ま」と読むと「まくま」だし、全く違和感ありませんでした。数年前、そういえば「まくあい」とも言うね、と気づいた。
◆観客とスターそれぞれの「見慣れた景色」
お客さんは「ステージの上の歌手」を見る。スターは舞台の袖から、自分に用意されたステージと暗がりの「客たち」を見る。でも眩しいライトに射抜かれて、客席なんてよく見えなかったりするのでしょう。両者の景色はこんなに違う。
時には私たちも、役割を変えてスター目線で見るのもおもしろい。ふと肩にかかる重荷まで背負ったような気になる。緊張と、ときめきの一瞬も。全くの想像でしかないけど。
◆まとめ
- 「間奏曲」はステージに登場するまでの裏・山口百恵の歌
- セリフと歌詞で2分程度のおもしろい曲
- 舞台裏の生の百恵ちゃんをのぞき見したいという気もした
- 「踊る位置」ちゃんとわかったのか?と心配する
- 「コーラひと口」の百恵風ごくっ音。みんなで実験してみよう
- 「参加ミュージシャン一覧」を見るといろんな発見、思い出があったりする
- 「生身の百恵ちゃん」ちょっと鼻声気味かと心配
- 「幕間」まくまと読んだり、まくあいと読んだりするらしい(豆知識)
- 客とスターの景色はまるで違う!でも感動は共有できたはず。夢をありがとう
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