目次
百恵さまの朝のお目覚めシーンをそっと覗いてみよう
「鏡の中のある日」
歌:山口百恵
作詞:阿木燿子
作曲:宇崎竜童
編曲:船山基紀
アルバム『百恵白書』
(1977年5月発売)の
A面2曲目に収録されています
◆ガラッと変わって静けさの世界へ~今度はなにが?
アルバム最初の曲
「I Came From 横須賀」は
イントロが耳に飛び込んできた瞬間
「やったー!」と叫ぶカッコよさ!
横須賀の海、潮風を
サーッと走り抜けていく臨場感に
鳥肌が立つ
そんなノリのいい歌でした
今度の曲はガラッと変わります
動から⇒静へ
このギャップに
今度は何?って聴き入ってしまう
レコード針が
音のない溝をなぞる
わずかな静けさのあと
「鏡の中のある日」が
小さな宝箱を開けたみたいに
クリスタルな音色が
やさしく響いてくる
かわいらしくて
ファンタジック
シャリリーンと
ウィンドチャイムの音がして
百恵ちゃんが歌いはじめます
キーボードと
ヴォーカルだけ
目覚めたばかりの
ぼんやり感を包んで
静かな始まりです
◆みんな口ずさんでいる!宇崎メロディーに捨て曲なし
始まりのほぼ独唱パートの歌詞は、
目が覚めてから 30分ちかく
どうしてもだめ ぼんやりしちゃう
薄めのコーヒー ゆっくり飲んで
鏡に向かい 小さなあくび
「鏡の中のある日」より
(歌:山口百恵、作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童、編曲:船山基紀)
「低血圧で朝は弱い」と
言っていた百恵ちゃんの
リアルな朝のイメージでしょう
「ぼんやりしちゃう」の歌い方がいい
この歌を知っている百恵ファンなら
朝起きたとき
口ずさんでしまうこと
よくあるんじゃないでしょうか?
日常のありふれたシーンだから
使い勝手のいい歌です!
でも決して小品だからと
手抜きなどしてないです
上記に引用した歌詞部分の
メロディーだけでも
百恵白書と言うだけあって
百恵ちゃんの姿のように
凛としてきれい
宇崎さんの旋律いいなぁ
だからこの歌は存在感があって
いつまでも聴き手に愛されている
と思います
◆朝の小さなミュージカル!暮らしを楽しむ日本人です
「鏡の中のある日」は
私もよく口ずさんでいます
家族が起きてきて
無言で食卓に座ってたりすると
聴かせるともなく歌い出す
「目が覚めてから~~」と
それはオハヨーの挨拶代わり
こうして日常をちょっとだけ
ミュージカルにする!
いいと思いませんか
陽気な18才「百恵流仕事の取り組み方」とは?
◆百恵に密着!ここからがおもしろい
導入部分の
ヴォーカルが終わると、、、
ドラム
ギターが入ってきて
『始動!』
とばかり
活気づきます
歌全体の内容は、
目が覚める
↓
コーヒーを飲む
↓
車で移動
↓
仕事
↓
インタビュー
↓
待ち時間
↓
帰宅
↓
お化粧落とし
レコード鑑賞
↓
就寝
あっさりしたタイムテーブルの中に
ファンたちが知りたいこと
いろいろ詰まっています
脚色したこと
本当のこと
混ざっているかもしれませんが
想像を巡らせて歌詞をたどりましょう
◆百恵ちゃんの発言!はぐらかしだってあるよね
この曲の歌詞を読んで、
たぶん最初の中学1年の時も
そうだったと思うのですが
『インタビューの答えを
その時々変えてケムに巻く』
というのは本当だろうなと信じました
どうしてそう思ったのか、、、
用心深い自分の性質のためか、、、
わかりませんけど
毎日、数多くの質問を受けていて
いつでもきっちり整合性のとれた回答って
できないんじゃないだろうか?と
はぐらかしだってあるよねと
例えば「納豆のサンドイッチ」は
おいしいと思うか?とか
ささいなことですが
◆山口百恵を描き出す阿木燿子さんのすばらしさ
3コーラスめに
「待ち時間はひとりがいい」
なんていう言葉があります
百恵ちゃんは
「ずっと一人でいても苦にならないタイプ」と
ラジオでいつか言っていました
わかるな
わたしもそう
中学の頃からそう
って、ちょっとした共通点が嬉しかった
その後の歌詞がいいんです
昨夜の雨が残していった
水たまりには陽炎ゆれる
「鏡の中のある日」より
(歌:山口百恵、作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童、編曲:船山基紀)
詩人はこんな風に
美しいものをちゃんと見つける
阿木さんの美意識とも言えるし
百恵ちゃんが
「ひとりの時」を大切に過ごすからこそ
発見できる美とも言える
車の中のシーンでは
道が渋滞していたからこそ
バックミラーに「朝日」を見つけていました
日常のどんな場所にあっても
みずみずしい感性は
なくさないでいたい
気持ちを豊かにします
◆「鏡の中」は幻、そして謎
「水溜り」に揺れる陽炎
って、捕まえることのできない幻です
「バックミラー」の太陽も
そこに実体はない
朝と眠る前に覗く「鏡」も、、、
そこには「百恵の素顔」が写っているけど
素顔さえ
映された幻影
百恵ちゃんは
「向うの世界」を見ては
なにかを発見し
現実(仕事)の合間にホッと一息
救われている
そしてそんな山口百恵自身も
「向うの世界」から私たちに
姿を見せ
実体の全貌はつかませてはくれない
実体がチラリ
幻影がチラリ
これははぐらかしでしょうか?
追いかければ逃げていき
諦めると微笑みながら近づいてくる
阿木さんは
「こういうのが一番すてきでしょ」と
言っているのかなって気がします
明るいアレンジ!ノッてる百恵のリア充そのもの
◆船山基紀さんのアレンジ
「鏡の中のある日」の演奏を
よく耳で追っていくと
「I Came From 横須賀」から引き継いだ
ファンキーなノリと
おしゃれ感
それから昭和のあたたかさ
をとても感じて感動しました
百恵ちゃんがセリフを言うところ
「好きな言葉、愛」と
伸ばして歌うところも、
なんかめちゃくちゃファンキーな
キーボードが入っていて
陽気なノリが続く
日々仕事をこなす
充実した山口百恵の「喜び」をも
表現しているようで
明るい!
◆一日を終える百恵ちゃんの思い
寝る前にもう一度
朝と同じフレーズを歌います
「鏡に向かい小さなあくび」
百恵ちゃん
就寝前ヴァージョンのこのフレーズは
朝のねむそうな言い方とは違い
丁寧に本を閉じていくように
一日を終えた感慨をこめている
そんな風に聴こえてきました
そして最後に
「好きな人はあなた」を
3回繰り返します
2回めの終わり
ポ~ワポ~ワポ~ワって
謎音(スチールギター?)が入って
「あなた」と歌うと、、、
アコースティックギターと
百恵の声だけになって3回め
おもしろいです
再び演奏はフルになって
スパッと終了
さすがのファンも
ここで歌う「あなた」が
自分のことだとは思いません
(「I Came From 横須賀」とは違って)
「あなた」
だれなんだろう?
謎でおしまいです
「鏡の中のある日」まとめ
- アルバム『百恵白書』の2曲目です
- 朝起きたてのシーン。静けさ、旋律がとってもいい
- 朝コーヒーを飲むあなた、この歌を絶対覚えて歌って!
- この歌で日常をミュージカル仕立てにして楽しもう
- 山口百恵一日のタイムテーブル公開!
- 「百恵ちゃん、好きな花は?色は?」はぐらかしもあるかも
- 美しいもの見つけた!詩的な感性を大切にしたい
- 実体と幻影がチラチラと、人はみなそんな風に生きている
- 船山基紀氏のアレンジがカッコいい!必聴!
- 演奏のノリノリ感、明るさは「百恵のリア充」を表現していた
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