山口百恵「愛の嵐」

「愛の嵐」は嫉妬がテーマ

◆イントロがすごい!

「愛の嵐」
歌:山口百恵

作詞:阿木燿子
作曲:宇崎竜童
編曲:萩田光雄

1979年6月発売、
26枚目のシングルです

1980年2月発売の
アルバム『春告鳥』にも
収録されています(B面1曲目)

————————————————————–

ドラム

トントントントントントントントントン、、、

重めのギター、ジャラーン×2

ギターの印象的なフレーズ

別のギターのリフが重なる

(ヴァイオリン的な音もかすかにする)

ピュンピュンという電子音
(武道館ファイナルでもこの音あった?)

ドラム

ピアノ

静かに歌いだすヴォーカル

————————————————————–

こんな風にしか記述できませんが
何度聴いてもカッコいい
音楽の表現は無限ですね

目を閉じてじいっと聴くと
私の心にも
重い渦が生じるような気がします

百恵ちゃんもステージで歌うとき
スタンバイして完全静止し

この演奏部分を何度も聴き
身体で受け止め
気持ちを集中させていったんだろうな
と思います

似たような雰囲気をもつイントロは
「さよならの向う側」のB面の
「死と詩 death and poem」かな
同じく作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童、編曲:萩田光雄です

◆「幻の女」に狂気~嫉妬芸術ここにあり

その人は幻 うす紅のドレス着て

にっこり微笑んで

あなたに向って手招きしてた

「愛の嵐」
(歌:山口百恵、作詞: 阿木燿子、作曲: 宇崎竜童、編曲:萩田光雄)

「その人」に実体はない
「私」は幻の世界で
嵐に巻き込まれていく

狂気の稲妻に撃たれ
「私」は歌う

翻弄の美学
嫉妬芸術

山口百恵自身
「愛の嵐」発売当初
「わかるなって思えてすごく好きな曲」と
言っていました

嫉妬の感情を持つ
でも人間はそこにとどまっていません
アーティステックな世界で
昇華するのです

「炎と書いてジェラシー」
「狂うと書いてジェラシー」

二つの歌詞に隠されたワードを見つけました

一番の歌詞を(筆者が)間違えて
「狂う」と歌いかけてしまい
あわてて「炎」に直したら、、、

「くのお」
「苦悩」

静かにゆらめく苦悩
身もだえする百恵が
透けて見えました
(偶然のこじつけです)

「我々が芸術を持つのは
真実に直面して死なないためだ」

と言ったのはだれでしたっけ?
探したけどみあたりませんでしたが
非常に感動した言葉です

これをふまえて
「愛の嵐」を歌い、演じた
アーティスト山口百恵に
思いを馳せてみると

芸術によって苦悩を昇華させる
生身の山口百恵がそこに

まあ、、、
こんな見方もあっていいかなと思います

もし嫉妬の苦悩に
ひとときさいなまれたら
この歌を聴いてください

人気絶頂のあの頃、山口百恵が語る「嫉妬」

◆引退の影一切なし!ノリノリの百恵節

【1980年3月7日】
婚約と芸能界引退を発表したのですから、、、

その前年【1979年】
↓6月発売「愛の嵐」
↓9月発売「しなやかに歌って」
↓(10月リサイタル開催、恋人宣言)
↓12月発売「愛染橋」

この頃は
「山口百恵の歌人生」
まだまだ続くと思っていた

リアルタイムのファン(私)こそが
ノリノリで
の~てんきに
百恵ちゃんの曲を聴いてた!

その心情も影響しているのか
「愛の嵐」の
百恵ヴォーカルは
脂がのってて
今をときめく人気スターの
最高のパーフォーマンスでした

◆「リサイタル -愛が詩にかわる時-」で百恵ちゃんが語ったこと

1979年10月、
帝国劇場で行われた「リサイタル」でも
「愛の嵐」を歌ってくれました

・巻き舌 

「ライブCD-BOX」を聴きなおすと
「狂うと書いてジェラシー」
「くるう」の「る」が
巻き舌 ?っぽくなってる!

やったー、これぞライブ!
ありがとうございます

この箇所に限らず
百恵ちゃんは時折巻き舌になります
見つけるのがまた楽しみです

・「憎んでしまう」

2番の歌詞
「軽くあなたを憎んでしまう」の
「憎んでしまう」がいい!
(ライブ盤もレコード盤も)

・「jealousy storm,jealousy storm」

この辺からギターが
「‎港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」っぽくなる
かっこいい

「愛の嵐」は詩、曲、編曲が
最強のチームワームで
ありえない世界を生み出してしまった
そんな感じがします

・百恵ちゃん「嫉妬について」語る 

リサイタルで
「愛の嵐」を歌った直後
百恵ちゃんによる
こんなMCがありました↓

※話の内容は「オチ」みたいなものがあります。ここでは知りたくない!という方は引用部分を読み飛ばしてください。

♪「愛の嵐」

演奏終わり、拍手がおこり、百恵ちゃんの言葉を待つかのように静まる。

静けさ。

男性の観客たちのかけ声「百恵~」「百恵ちゃん」「もーもえっ!」

微笑みと落ち着きの声で百恵一言、、、「聞こえます」

(以下百恵MC)

あの、、、嫉妬深いんです(間)
(ささやくように)あたし
見えないでしょ
あのね、でも、嫉妬っていうのは、、、なんて言ったらいいのかしら、独占欲とも違うし、とっても複雑なものだと思うんですけど

あえてあたしは、嫉妬深いです。認めます。これはね、でも、、、例えば恋人に対しての嫉妬とか、それ以外の嫉妬もたくさんあると思うんです。お仕事の上でも、もちろんあの、嫉妬っていうのは絶対に成り立つものだと思うしね。

みなさんも、なんとなくこう周りを見てみて、、、小学生の頃、思い出してください。「あっ、あいつの方がちょっと勉強できそうだなあ~」って思うと、その人に対してちょっと嫉妬したり、、、(笑)そんな経験があるんじゃないかなぁ。

あたしもね、そういう意味で、嫉妬をする回数がとっても多いんです。でも、もうあたしも、二十歳を過ぎましたしね。その嫉妬とはもう、そろそろおさらばして、とっても心の広~い人間に、なりたいなと、思うんです。

まあ、あたしも、一応女ですから、「いつかは」(間、、、)(やや早口で⇒)お嫁さんにいくかもしれないし。

でね、そんなときに、よくありますでしょう、、、「浮気」。だいたい世の(ため息)奥様方でしたら、あの浮気されると非常に嫉妬するの、これ当たり前なんですけど。

今ここでみなさんに誓います。なにがあっても、あたしは『絶対に』嫉妬しません。聞きましたね?「し・っ・と・し・ま・せ・ん・!」聞こえるように言いました、うふふ(笑)

とにかく、なにがあっても、どんなことが起きても、あたしは「絶対に」、神様に誓って「嫉妬は」しません。(小声⇒)焼きもちは焼くかもしれません。(笑)(会場小さく笑いがおきる)

でもね(笑)、まあ、話はちょっと別になりますけど。本当に嫉妬っていうことに限らず、いろんな人の、いろんな面を、理解しながら歩いて行きたいなって思います。

もちろんあたしにも長所もあれば短所もある。でそんな長所や短所ひっくるめて、理解してくれている人たちがいる。だから、あたしも、、、いいところも悪いところも、みんな一緒にして、「その人」っていうのを、どんどん理解してあげたいなって気がするんです。

これから巡り会う人たちに対して、そんな風に思います。もちろん、今一緒に、同じ道を歩いてくれている人たちに対しても、その気持ちは持ちたいなって思います。

ただ心配なのは、その理解が時として、ものすごくさびしい時があるかもしれないってこと……。

ライブアルバム『山口百恵リサイタル -愛が詩にかわる時-』(2006年1月18日リリース・CD-BOXより)(録音 1979年10月1・2日帝国劇場)

※間があくところは読点を打つようにしました。「」かぎかっこは語句を強調して語っている箇所です。

◆ライブでの百恵ちゃんの語りについての個人的感想

「MC」の内容にもふれたいですが
「あ・え・て」ふれません

「語る山口百恵」の魅力について
CDを聴いてつくづく感じたことがあるので
これを記したいと思います

ステージに立ち
まぶしいライトに照らされながら
ほの暗い闇へ
言葉を紡ぎ出す山口百恵

闇と声が調和して
唯一独特な世界になる

思索、人生、愛
その確かな重さは
音楽のように
ビロードの闇を満たす

発せられる言葉
一語一語の
音階
響き
やわらかさ
きつさ
間は

意味以上に
意味を持つ

百恵が自在に操る
真摯な遊戯「語り」

私は
「山口百恵の語り」という
葉っぱみたにな乗り物にくるまれ
す~いす~いと揺られて
心地よさに目を閉じる

、、、つい詩のかたちになりました

百恵の声は
闇に消えていく感じが好きです

まろやかで
強弱も
息づかいも
ちょうどよくて
とにかく聴き心地がいい

どうしてでしょう

今回、長い語り(MC)を聴いていたら
「噺家(はなしか)」という言葉が
チラッとよぎりました

噺家の中の「新ジャンル」を
ステージ上の一人語りで
すでに創り出してしまっていたとさえ感じました

この人の「お話し会」があるなら
毎日でも聴きに通うことでしょう

とても惹きつける力、
癒す力が
あるように思います

芸能界を引退して
「語り」の世界でご活躍くだされば!
なんて
じわじわと
とても残念に思えてきました

◆まとめ

  1. 「愛の嵐」のイントロは最高!スタンバイしている百恵ちゃんと共にじっくり聴こう
  2. 歌詞を間違えると「キーワード」があぶり出てきた!苦悩に身もだえする人よ
  3. 芸術に我々は救われている。アーティストもまた然り
  4. まだまだ続く歌人生!人気スター山口百恵のベストパーフォーマンス
  5. 「愛の嵐」は「リサイタル -愛が詩にかわる時-」でも「武道館ファイナルコンサート」でも歌われた。百恵ちゃん自身、特に好きだった曲
  6. リサイタルで「あたしは嫉妬深いです。見えないでしょ?」と語り、ある誓いをたてていた!
  7. 「長所も短所もひっくるめて」理解してくれる人たちを、理解してあげたい。
  8. 山口百恵が語る。そこに生まれる世界は人を包み込み、心地よくする。
  9. 引退後「語り」の世界で活躍してくださればと、とても残念。

こんな記事も

「愛の嵐」発売の頃のラジオの話(MCのネタバレあり)

⇒ 山口百恵ゲスト出演~幻の「パックインミュージック」8

引退の気持ちをこめた渾身の作品

⇒ 山口百恵「一恵」

シェアする

フォローする