山口百恵「愁いノート」

『パールカラーにゆれて』B面2曲目「愁いノート」

アルバム『パールカラーにゆれて』(1976年12月発売)

B面の2曲目は「愁いノート」

作詞: きすぎえつこ、作曲: 船山基紀、編曲:船山基紀

作詞は「嘆きのサブウェイ」と同様
「きすぎえつこ」さん。

このアルバムではひらがなですが
後に「来生えつこ」と表記する、
来生たかお氏のお姉さま。

昔この苗字をライナーノーツで見たとき
なんて読むのかわからなかった
「くるう、、、かな?」と不確かなまま読んでいました

中森明菜「スローモーション」
薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」など

たくさんのヒット曲の詞を手がけた方です。

「隠れた佳作」は永久に思い出をとどめる

「12曲入りのアルバム」を聴くという至福の時間

8曲目までやってきました

ここが「B面の2曲目」です

A面ラストの「モノトーンの肖像画」について綴ったとき

「B面の2曲目」に似合っている曲だと申しました

聴く側の気持ちに一番「ゆとり」が生じるのが

この場所かなと思ったから

「愁いノート」がその「B面2曲目」でした

いかがでしょうか?

私はピッタリな配置だと思います

今、40年もの月日が流れて
「愁いノート」を聴くと

浮かんでくるのは
小学6年生のあの日

はじめてこの曲を聴いた日の風景なんです

この曲はもしかしたら
地味なアルバム曲のひとつかもしれません

でもだからこそ
純粋に個人個人の思い出を閉じ込めていてくれる

そして聴き返すほどに
「隠れた佳作」だとしみじみ思います

人生において
『パールカラーにゆれて』という
百恵ちゃんのアルバムを
始めて聴いた・・・そのたった1日

たった数時間の「放課後」
曇天の空、河川敷、風

映画のように
雰囲気まるごと閉じ込めてしまっている歌

そういう歌、だれにでもあると思いますが

私にとって「愁いノート」が
12曲の中で1番、映画的で
パーソナルな記憶を
特別なものとして温存してくれている

全然気合い入れずに、自然にそうだった

「B面の2曲目」で
さりげないポジションだったことも
一つの要因のはず

「ノート」に「ページ」で青春の真ん中

「愁いノート」というタイトル

ちょっと不思議な感じがします
どうしてこういうタイトルを思いついたのでしょうか

アルバムの世界を巡ってきたリスナーなら
思い出してくださるかなと思うのは

「A面2曲目」の「ある1ページ」

「ノート」といえば
「ページ」もあったな、と連想しませんか

作品に類似性はないみたいですが
この2曲が「アルバム」全体を
「学生の愛唱歌集」的雰囲気にしています

帯コピー「ゆれる百恵 青春の真ん中で」

、、、この言葉を決して裏切らない内容になってる
真面目さ

そして意外にも私のような「小学生」さえ
青春を歌ったこれらの作品たちに心をうたれてしまう
年齢層の広さ

「ノート」と「ページ」の効果は大きいと思います

小学生、中学生、高校生、大学生
今こそ、なるべく急いで
アルバム『パールカラーにゆれて』
手に取って聴くべきだと思います

まだこの先百恵アルバムが続きますから

なんて言うのは
自分のスタイルを押し付けようとする
年寄りの悪いくせかもしれません

異質な歌唱法とシネマワールド

ひとつの歌の中の同じ詩でも、
その都度ニュアンスを変えて表現する

そんな細やかな歌い方を
さりげなくしている百恵ちゃんですが

同じアルバムの中でも
曲によって声の出し方変えている?

と思ったのが「愁いノート」の歌い方です

大きな運河
水鳥
旅の空
愁い

一体どういう状況なのか
一体どこにいるのか
茫洋としていてミステリアスですが

悲しみをたたえた感じがよく伝わってきます

百恵ちゃんの歌い方
この曲に限ってだと思います
要所要所微妙な声のふるえに満ちている

まるで水面のさざ波のように
愁いに満ちた心の震え

そこを表現しているようなんです

不安に震える様子が
耳からではなく
ダイレクトに心にくる

でも百恵ちゃんは遠くにいるみたい
旅先なのか
映画の世界なのか
それとも
学生の日常の白昼夢?
うたたねで見た束の間の情景?

そういう意味では
この曲は少し異質です

ピアノのメロディも
メランコリックで美しい

この「愁いノート」を
映画の挿入歌に使ってみたい!

そんな妄想を描きたくなりませんか

観客は「愁いノート」イントロから聴いた瞬間
「ああ今映画を見ている!」と
すごく感じると思うんです

映画の良さここにありと

そう考えると
山口百恵のヴォーカルが
いつもよりゆらめいて
さざ波のように悲しみを打ち出しているのは
映画の特別感を味わうときの
絶好の異質感

と私はこう思うのです

まとめ

  1. 隠れた佳作の中に君だけの映画的記憶を!
  2. 青春の真ん中でゆれる、小・中・高、大学生に聞いてほしい
  3. 百恵ちゃんの「愁いに満ちた心のふるえ」を聴こう
  4. ピアノのメランコリックで美しい調べよ
  5. 「愁いノート」を映画の挿入歌に使わせてください


1つ前の曲は?→ 「赤い衝撃」

A面ラストは?→ 「モノトーンの肖像画」

シェアする

フォローする