山口百恵「赤い衝撃」

「赤い衝撃」~『パールカラーにゆれて』B面1曲目

アルバム『パールカラーにゆれて』
(1976年12月発売)B面の1曲目

1976年11月発売の15枚目のシングル「赤い衝撃」です
作詞: 千家和也、作曲: 佐瀬寿一、編曲: 馬飼野康二

ドラマ「赤い衝撃」の深いテーマとは?

レーベルに【TBS系TVドラマ『赤い衝撃』テーマ】とあります。

「赤い衝撃」はTBS系列で1976年11月から放送されていた
三浦友和・山口百恵主演のテレビドラマで、
同タイトルのこの曲がオープニングに流れていました。

ドラマの内容は
実はものすごく深いテーマがあって
考えさせられます

見方によっては
ツッコミどころ満載、ありえな~い
かもしれませんが

それで終わらない
訴えかけてくるメッセージが
あると思います

事故で銃弾が身体に当たり
スプリンター(短距離走者)の夢を奪われた
被害者・大山友子(山口百恵)

友子は
加害者・新田秀夫(三浦友和)を愛してしまい

こんな事故を起こしてしまった彼こそ
自分より辛いのでは、、、と気づく
そして赦す

夢を失って
生きる意味をなくした彼女に

絶望から立ち直る力をくれたのは
皮肉にも秀夫(加害者)だった

暗黒に突き落とした人が
唯一希望の光をくれた
そんな状況

二人とも苦しいんです
自分を責める秀夫
その彼を救うために
「再び走れるように」なろうとする友子

これで泣けない人などいないでしょ
と思うくらい

1つの事故でも
そこに「愛」があると
こんなに赦しと希望のストーリーになるんですね
言葉に言い尽くせません

いろんな登場人物がいて
ごちゃごちゃして
複雑な関係もいろいろあるのですが

そうした全体から抽出すべきことは
愛することができるなら
赦すことができて
赦すことができたとき
希望はきっと生まれてくる、ということ

どうしてか?
愛は力をくれる何かなのでしょうね

だから「みんな人を愛しましょう」
なんて言いたいのでは全然なく

「愛すること」ほど難しいことはないんです

難しいことだけどまるっきり絵空事ではない

だから「赤い衝撃」の二人を見て
愛について考えたり、
赦すことができたら、と泣いたりする

ドラマ「赤い衝撃」
私が今思い出すシーンは

百恵ちゃんの母親・大山鈴代役の「草笛光子さん」

はじめは加害者・秀雄(三浦友和)を憎んで憎んで
娘・友子(百恵ちゃん)のところには二度と来るな!と
追い返してた

やがて足が動かないと知った友子は
生きる気力をなくしてしまうのですが

秀夫だけが唯一娘・友子が生きようとする希望だと
母(草笛光子)が本当に知って

加害者に「娘を救えるのはあなただけ。娘を助けてください」
と頭を下げる

こういう心の変化のすごさが印象的でした

「娘への愛」
憎んで当然な相手への憎しみを消させるんです

まあ突っ込みどころはあるかもしれませんが
年齢を重ねて見直すと
その奥の素晴らしさ
たくさんたくさんあると気づいたりするものです

「B面返し」作業をしたらリフレッシュ

ドラマとの関係はともかく、
この歌「赤い衝撃」は、、、
「B面はじまるよ!」という曲としてピッタリです

ギターが疾走し、ドラムがはじける
目の覚めるような楽曲に
リフレッシュされます

こういう曲構成は
A面とB面がある『アナログレコード』の特性
かもしれません

A面(片面)聴き終わる

本当なら、そのままB面が聴けたらいいのに
無常に針は「終わってしまう」

アルバム全12曲を順番通り聴くには
ここで人間がプレイヤーのところまで
「よっこらしょ」と行き

レコードをひっくり返して
針を1曲目に置かなくてはいけません

危機的な事態です

じゃあキリがいいからやめよう!とか
B面は後でいいや!
と離脱する確率が高くなってしまいます

そこを乗り越え、B面に突入した我々を
どんな曲がまず出迎えてくれるのか?

「赤い衝撃」のアップテンポなノリと
この曲テレビで知ってる!という親しみやすさは
重要です

そしてこのあたりで
じっと凝り固まった身体を少し動かして
伸びをして
声を出して、、、と
いったん体勢を立て直す

そんな役割も果たしている
「赤い衝撃」は
B面1曲目で決まりだと思います

歌は旅する~どこをさすらう?

ドラマのオープニングで聴く「赤い衝撃」は
百恵ちゃん扮する「主人公・大山友子」を
歌に重ねてしまいます

アルバムで聴くと
しっかり「山口百恵の歌」になっている

バージョン違いの録音ということも
あるのでしょうけど

歌も旅する
そんな表現をしたくなります

ドラマ「赤い衝撃」のテーマの方は
長旅中の歌
いろんな人と出会い
めまぐるしい体験をした

その全部が染みついた記念の1曲
と聴こえる

アルバムで聴く歌は
百恵ちゃんが旅から
ホームグラウンドへ帰ってきて
お茶会でも開いて
聴かせてもらっているようで
ホッとします

不思議ですね

聴く人の主観ですが
曲を鑑賞する際にめいっぱい発揮される
想像力の効果かもしれません

「横須賀ストーリー」と同じ「サビはじまり」

最初の歌詞は、

あなたがいる わたしがいる

答えは愛だけ

あなたがいる わたしがいる

何かが呼ぶだけ

愛は人と人を結ぶ鍵

「赤い衝撃」
(歌:山口百恵、
作詞: 千家和也、作曲: 佐瀬寿一、編曲: 馬飼野康二)

いきなり「サビ」で始まっていて
「横須賀ストーリー」
「これっきり これっきり」を
思い出します

「赤い衝撃」の方が
メロディーも歌詞も繰り返しが多い

「横須賀ストーリー」と違うのは
1番が終わって、間奏~カッコいいギターのあと
2番の頭でもまたまた「サビ」始まりになっている

更にしつこい感じがします
(Aメロなのか?)

それがいやだな~ということではなくて
上記に引用した部分の曲は
「これっきり」を上回る“歌いにくさ”
なっているように思うんです

「パールカラーにゆれて」や
「およげ!たいやきくん」を作った
「佐瀬寿一さん」の作曲で

期待どおりのはじけたドラム
ノリノリで
大好きですが

「赤い衝撃」のこの部分は
特別ちょっとおもしろいなと思います

私が特に気になる部分は

「答えは愛だけー」と
「あなたが呼ぶだけー」の

「けー」の伸ばし音です

高い音ばかり4段くらいの階段を
昇り降り昇り降り、繰り返した果てに
最後の1音が「けー」です

これを一体どうしたらいいんだろう?
どうしたらまとまるんでしょう?と

長年ひっかかっています

ご本人百恵ちゃんは

「け~」微妙な加減で抑揚をつけている

一直線の「けーーー」ではないけど
「け~えぇえぇえぇ~~」じゃない

そうそうこの部分は
「演歌」の方なら歌いやすいんじゃなかろうか
とてもこぶしを回しやすい部分かもしれません

山口百恵の凄さ~遡って「間」が心を打つ

百恵ちゃんは
「あなたがいるだけ 愛は人と人を結ぶ鍵」の

「だけー」の語尾が消えていく刹那
微かに哀感をこめているように聴こえる

そして次のフレーズが始まり
「愛は、、、」の「あ」を歌うときの
哀しさ!

つながっていた感情が
初めて全体として見えてきます

ヴォーカルが消えていく
その時チラッと見えた感情

声のない「間」

再度歌いだす
その最初の「1音」

この「1音」に
我々聴き手がつかみ損ねた
「間」の前の「一瞬の感情」の
まぎれもない「続きの表現」がある

すると「間」の数秒間に
山口百恵がどう表現し続けていたか
ということまですごく伝わってくる

「赤い衝撃」は速い曲なので
こうしたつなぎは一瞬ですが

他の楽曲においても
「終」「間」「再開」と
感情をつないでいく様子が
ゾッとするほどわかる箇所がたくさんあります

百恵ちゃんに学ぶとするなら
先ほどの場所

「答えは愛だけー」と
「あなたが呼ぶだけー」の
「けー」の伸ばし音

これ、どうしていいか困る箇所でしたが

次にくる「愛は人と人を結ぶ鍵」
という歌詞の意味を

先取りでかみしめて
そこから起こる自分の感情を大切に育てる

そんな時間として
未来に心をあずけて
「けーー」を過ごせば
いいのかもしれません

やってみましょう

まとめ

  1. ドラマ「赤い衝撃」の愛について考えながら歌を聴いてみよう
  2. B面トップはこれ!リフレッシュ・サウンドをおもいきり味わおう
  3. 旅する歌「赤い衝撃」~ドラマ関係なく百恵ちゃんのアルバム曲として聴こう
  4. 「横須賀ストーリー」のようにサビで始まる曲
  5. 山口百恵のすごさ~「一瞬の間」に持続されている心
  6. 「赤い衝撃」を歌おう~苦手箇所は師匠百恵ちゃんに学んでみよう



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