山口百恵「君に涙のくちづけを」

百恵アルバム入門編

山口百恵「君に涙のくちづけを」
作詞: 千家和也、作曲: 佐瀬寿一、編曲: 船山基紀


アルバム『パールカラーにゆれて』
(1976年12月発売)
A面4曲目に収録されています。

私はこのLPから
百恵ちゃんのアルバムを聴くようになったと
別の記事でちょっとお話しました。

その流れで「百恵アルバム入門編」という形で
『パールカラーにゆれて』の収録曲について
私が初めて聴いた経験も織り交ぜて書いていきます。

「4曲目」~旅人(聴き手)よ一緒に進もう

A面、1曲目シングル曲「パールカラーにゆれて」から聴き始めて

2曲目「ある1ページ」、

3曲目「嘆きのサブウェイ」と知らないオリジナル曲が続きます

4曲目「君に涙のくちづけを」も初めて聴く曲

  に例えるなら、、、

だいぶ歩いたね

やっぱり引き返す、なんて今さらないョ

さあ向こうの出口まで

一緒に進もう!

(一人で聴くなら歌っている百恵ちゃんと一緒に!)

そう決めた。

ふと 空 を見上げる

、、、人ってこんなタイミングで

いよいよ森の深いところへ向かう所で

風景や空を眺めわたすものです

浮雲が 寄り添って

北へ逃げてゆく

「君に涙のくちづけを」
(歌:山口百恵、作詞: 千家和也、作曲: 佐瀬寿一、編曲: 船山基紀)

冬のにおいのする

木立の中から

空を見上げると

雲が北へ、流れていく

ちゃんと4曲目に↑風景は用意されていた

レコードを聴いている私

1曲1曲、、、時が経過して

知らぬ間に

歌の道筋をたどる小さな旅

になっている

だから、

旅人の旅情を伴って見る歌の風景は

曲が進むにつれて深まってくる

歌たちはそれを知っているかのように

「旅人=リスナー」のための詩を

森の道端にそっと置いている

、、、と思って鑑賞するのがアルバムの醍醐味。

「歌手・山口百恵の原点」発見!

どうですか

青春哀歌という感じ。

悲し気で素直ないい曲です。

私小学校の頃の「音楽の教科書」を

思い出しました。

ページの半分くらいに

ちょこんと譜面が載ってた知らない歌。

短調で哀愁があって

秋の草花を歌った小品、

好きでした。

そういう雰囲気が好きな人なら

「君に涙のくちづけを」は

お気に入り曲になるんじゃないかな、、、

そういえば百恵ちゃんも「唱歌」好きだったのでは?

ありました。
ラジオの中でちょっと触れています。

あたしがまだ中学生だった頃。
「歌」というもの。
あたしの中でまだそれほど大きな存在を
もってはいなかったような気がします。

ただどんな歌でもいい。歌を歌っていることが
ものすごく楽しくて、ものすごく好きだった。

そうですね、あたしの場合は
歌謡曲というよりも学校で習うような
いわゆる「唱歌」みたいな歌が
とっても多かったんですけれどもね。
(中略)

「スター誕生」第5回の決戦大会。
もちろん歌った歌は「回転木馬」。
予選会から決戦大会を通して
この歌しか歌えなかったんですよね。

~ラジオ/ニッポン放送「夢のあとさき」
(第1回・1980年4月6日放送)より
百恵ちゃんのトーク~

百恵ちゃんは「スター誕生」に応募した頃、

あまり歌謡曲を知らなかったらしいです。

牧場ユミさんの「回転木馬」以外は

男の歌い手さんの歌しか知らなかったとも言っています。

「歌を歌っていることがものすごく楽しくて」

「学校で習う唱歌がとても多かった」 と百恵ちゃん。

この言葉って、、、

とてもとても『歌手・山口百恵のルーツ』というものを

探るヒントになるんじゃないでしょうか。

「百恵ちゃんが歌う姿」の

私の抱く原風景は

「だれにともなく、海を見ながら」だと

別の記事で記しました

この原風景のイメージに、

「唱歌が多かった」と振り返る

21才、引退直前の

百恵ちゃん自身の言葉を重ねると

、、、なんともたまらないですね。

イメージぴったり(感激)

唱歌というとどんな歌、、、?

懐かしさ。素朴さ。

伝統的、普遍的。

みんなで、いつでも安心して。

別の言葉で言うと

非商業的

毒されていない(?)

ヒットチャート無関係

誰か聴いて!じゃなく

純粋に「歌う」「歌おう」

これが「原点」と言えるなら

山口百恵の魅力の一面が

解き明かせるかも

そんな気が(私個人としては)します。

(いわゆる「青い性路線」の曲が

さわやかに聴けたのも

唱歌スピリットからくる

品行方正さのためかもしれない)

そこで「君に涙のくちづけを」です。

そんな百恵ちゃんが歌うからいい。

やはり「唱歌」好きだった小学6年の私にとって

アーティスト山口百恵との出会いは、

アルバムとの出会いは、

偶然にして必然だった。

と今にして思いますが

だんだん大袈裟になるのでやめときましょう。

青春ラブストーリー~「連ドラ」は何話まで?

「君に涙のくちづけを」の歌詞はどうでしょう。

別れのシーンですね。

2曲め「ある1ページ」にいたあの人かしら?

一緒にブランコ乗った

ぶっきらぼうな青年。

そうか、、、サヨナラは青年から告げたのか。

作品同士のイメージがつながってくると

歌が広がります

断片を寄せ集めたものじゃなく

同じ人物が経験を重ねてきたように

思えてくるのがポイント。

この後もどこかでストーリーが

つながるでしょうか。

やはり「あなたはいい人」と

肯定的な言葉で

別れを飾っています

これは「青春恋愛ソング」の

暗黙ルールなのかな?

別れ、涙

悔いなし

感謝の気持ち

クリーンなイメージですね

アルバム内の統一感が

見えてきた気がします

「鍵っ子」って死語?~昭和のあの頃

私が初めて『パールカラーにゆれて』を聞いたのは

小学6生で、平日の放課後でした。

いったん帰宅してランドセルを置き
友だちのお家へ聞きに行ったのですが

この日は『ちょっとだけ特別な』
母のいる日だったんです。

あの頃私は『鍵っ子』でした。

学校から帰っても
親は働きに出ていて不在

自分の鍵で「ガチャッ」と
鍵を開けて家に入らなきゃいけません

そんな児童を「鍵っ子」と言いました。

「パールカラーにゆれて」鑑賞会の日

友だちに誘われてうれしくてたまらない私は
さっさとランドセル置いて遊びに行こうと

家に帰ると、、、

母がいたんです!

いつもいないお母さんがいる

このうれしさ。

「今日は早く帰れたのよ」
「おやつ買ってきたからお茶入れて食べよう」
と母が笑顔で言う。

一も二もなく、
「母と三時のお茶」を取ることにした私です
こんなラッキーデイは滅多にないから。

私は母に
「学校で待ってる友達に
約束を別の日に変えてもらうように言ってくるね」

と言って家を飛び出しました
お茶が冷めないうちに帰るつもりで。

それが、、、友だちの笑顔を見たら言えなくなり
結局お家におじゃまして
レコード聴いてたんですよね。

もちろん電話を借りて
母にはちゃんと伝えました。

でも「君に涙のくちづけを」
友だちと聴いていた時

家にいる母の顔がふと浮かんだんです

こんな歌詞、

風がつめたくさわいで

冬のおとずれ知らせる

想い出があてもなく

道に迷ってる

「君に涙のくちづけを」
(歌:山口百恵、作詞: 千家和也、作曲: 佐瀬寿一、編曲: 船山基紀)

2コーラスめの出だしです。

この詩と旋律は、、、切ない

お母さん今頃どうしてるかな、
一人でお茶飲んでるかな、、、なんて

「想い出」同様、自分も

冬の風に吹き荒ばれて迷子になった気がする

鼻の奥がツンとするさびしさが

歌に誘われてやってきました。

さあ 森 へ、と歩みを進めたばかりの

4曲め中盤の歌詞に

ふと旅人も郷愁につかれて我に返る

小6の私はどうしたかというと

全曲聴き終え楽しく会話して
自転車で帰宅しました。

歌の世界も現実も冬
もう陽が落ちてくる頃でした。

母は「おかえりっ!」
普通に明るかったです。

私だけが妙に感傷的だったのでしょうね。

とても印象深く残っている思い出です。

まとめ

  1. 【LP】「パールカラーにゆれて」最初から順序よく聴いてみよう
  2. 【LP】4曲目に来たらもう戻らない。全曲聴く旅を続けよう。
  3. 「歌手・山口百恵」の魅力とは?「唱歌」というキーワードを覚えておこう。
  4. 青春ラブストーリー~12曲を連ドラ仕立てに聴くこともできる
  5. 昭和の懐かしい思い出~鍵っ子の気持ちを少しわかってみよう

私の中の「百恵ちゃんが歌う姿」
⇒ 百恵ちゃんの魅力とは~「初恋時代」

3曲目⇒ 「嘆きのサブウェイ」

4曲目⇒ 「君に涙のくちづけを」

5曲目⇒ 「雨に願いを」

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